[プレスリリース]⼯芸とハプティクス(触覚技術)の融合による 新しい価値伝達と社会⽣活の創造に向けた共創プロジェクトを発⾜

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科学技術振興機構ムーンショット目標1 研究開発プロジェクト「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」 (代表機関: 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科) (通称 Project Cybernetic being)は、産学共創による研究成果の社会実装に向けて2021年10月に設立した「身体共創社会推進コンソーシアム」の活動の一環として、日本各地の代表的⼯芸企業が集う⼀般社団法⼈⽇本⼯芸産地協会(所在地︓奈良県奈良市、代表理事 能作克治)とともに、ハプティクス(触覚技術)や体験共有技術をはじめとしたサイバネティック・アバター技術と⼯芸の融合による新しい価値伝達の創造への取り組みをはじめます。第1号案件として、⽇本⼯芸産地協会からは堀⽥カーペット株式会社(所在地︓⼤阪府和泉市、代表取締役堀⽥将⽮)、Project Cybernetic beingからは慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の南澤孝太、名古屋工業大学大学院工学研究科教授の田中由浩らが参画し、ウィルトン織カーペット空間の遠隔接触伝達に関する共同研究を開始しました。⼤阪・関⻄万博を契機として、社会課題を解決し、社会の変⾰を先駆けることを⽬指す、株式会社三菱総合研究所とともに、⼤阪・関⻄万博の「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創チャレンジへの登録、同万博への参加および未来社会の創造を推進してまいります。

※ハプティクス(触覚技術)とは
人がモノや他者に触ったときの触感覚を計測し、その情報を、力や振動、温度などの刺激として再現することで感覚を伝える技術。エンタテインメントや遠隔コミュニケーション、ロボティクス、医療などの分野での応用が取り組まれている。

 

※科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業とは
内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」は、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発を推進している。
(ムーンショット型研究開発事業|トップ)https://www.jst.go.jp/moonshot/index.html

 

※サイバネティック・アバターとは
内閣府・科学技術振興機構ムーンショット型研究開発事業目標1
「2050年までに人が身体、脳、空間、時間の制約から開放された社会を実現」において掲げられている、人の身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念。Society5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指している。
(参考URL)https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html

<⼯芸の現状と⽂化的危機>

⼯芸(⼈の⼿技を介した業としてのものづくり)と地域の⾵⼟、歴史的背景とは密接な関係にあり、⽂化醸成に⼤きな役割を果たしている⼀⽅で、労働集約的産業であるため機械⼯業的⼤量⽣産品に押され、産業としての活⼒減退とともに携わる従事者数は減少しています。将来の社会⽣活における⽂化的豊かさが失われる危機に直⾯している現状において、⽇本⼯芸産地協会は、カンファレンス、経営者勉強会を通じて、⼯芸産業の活性化の検討、提⾔を⾏っています。

<Project Cybernetic being>

ムーンショット型研究開発事業ムーンショット目標1「人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」の研究開発プロジェクト「身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」(プロジェクトマネージャー:南澤孝太(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・教授))(通称: Project Cybernetic being ) は、人々が自身の能力を最大限に発揮し、多様な人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術を開発します。技能や経験を相互に利活用する場合の制度的・倫理的課題を考慮して、人と社会に調和した、身体的な技能や経験を流通する社会基盤を構築します。2050年には、この流通が人と人との新たな身体的共創を生み出し、サイバネティック・アバターを通じて誰もが自在な活動や挑戦を行える社会を実現します。

 

プロジェクトマネージャー南澤孝太のコメント

何百年もの歴史をもつ⽇本の伝統⼯芸と、私達が研究開発を進めているハプティクスやサイバネティック・アバターといった新しい技術との出会いによって描かれる⼯芸の未来にワクワクしています。

<堀⽥カーペット>

⼤阪府和泉市にて織物カーペットを⽣産する堀⽥カーペット株式会社は、産業⾰命期に開発された⼈と挙動と⾮常に近い構造を持つウィルトン織機を⽤い、現在もその⽣産を続けています。同製法でのカーペットは、現在主流となっているカーペットとは製法、質感ともに⼀線を画す、⽇本⼈の居住空間における素⾜での⽣活に⾮常に適したものです。⾼度経済成⻑期には新築住宅⾯積の約20%に達しました。住宅施⼯の流⾏変化により、⽣産は減少しましたが、その価値を⾼く評価する声は後を絶ちません。今回の取り組みの第⼀号案件として、堀⽥カーペットが参画し、ウィルトン織カーペットの施敷された居住空間の遠隔接触伝達を開発します。

<ハプティクス(触覚技術)と⼯芸の融合の可能性>

2022年7⽉に、⽇本⼯芸産地協会会員企業がProject Cybernetic beingの研究拠点「Cybernetic being Lab」(東京・⽵芝)を訪問し、三菱総合研究所のサポートを受けハプティクス(触覚技術)をはじめとしたサイバネティック・アバター技術に触れるワークショップを⾏うとともに、⼯芸とデジタル技術の融合で創られる将来について議論を交わしました。堀⽥カーペット株式会社の本取組みへの参画は、このワークショップをきっかけにスタートしました。

同10⽉にはProject Cybernetic beingのメンバーが堀⽥カーペットを訪問し、カーペット業界の歴史、展望、製法や、施敷⽅法から、カーペットの触感そのものへの理解を深めました。⼈の⼿技およびそれにより創り出される⽇⽤品は、それがつくられる過程や意味を含めて価値を持つものであり、それ故に伝達、継承がしにくいという課題があります。このような、本来伝承しにくい⼈の五感や感覚を通じて伝わる価値に対して、⼈の感覚や経験をハプティクス(触覚技術)をはじめとしたサイバネティック・アバター技術との融合により、新たな価値伝達とともに、新たな社会⽣活のあり様を模索していきます。

<⽇本⼯芸産地博覧会と2025⼤阪・関⻄万博>

⽇本⼯芸産地協会は、全国各地の⼯芸産地の製造⼯程体験を通じて来場者へ価値伝達を⾏う場として、2021年に⽇本⼯芸産地博覧会を実施しました。この取り組みを継続的に⾏うとともに、サイバネティック・アバター技術との融合による新しい価値伝達を発展・成⻑させ、2025年に開催される⼤阪・関⻄万博にて、世界へ向けて⽇本の⼯芸を発信することへ繋げていきます。

<⼤阪関⻄万博・共創チャレンジ>

私たちの模索する未来社会における⼯芸の価値と、そのあり様を考えることにおいて、⼤阪関⻄万博で掲げられる『いのち輝く未来社会のデザイン』というテーマは同調性が⾼く、共創チャレンジとして、三菱総合研究所とともに社会実装へ向けた取り組みとして⽬標を設定してまいります。また、本取組みをモデルとして、三菱総合研究所は、地域の産業の担い⼿×デジタルによる社会課題解決の組成と研究提⾔を進めてまいります。

【プレスリリース発⾏者】
⼀般社団法⼈⽇本⼯芸産地協会/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科/株式会社三菱総合研究所

【お問い合わせ先】
⼀般社団法⼈⽇本⼯芸産地協会・事務局
 〒630-8144 奈良県奈良市東九条町1112-1
 E-mail︓info@kougei-sunchi.or.jp
 担当︓事務局⻑ 原岡知宏(直通 070-1369-8137)

【Project Cybernetic being に関するお問い合わせ先】
 E-mail︓info@cybernetic-being.org
 Project Cybernetic being 広報・社会連携担当 小原・川口

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